弘法大師に聞くシリーズ 別巻2

現代語訳 『大日経住心品疏』を読む 
書評仏教タイムス 2016.4.28

密教とは何か

福田亮成  

大正大学名誉教授・智山専修学院前院長・川崎大師教学研究所所長
人間存在の心の種々相を六十に及んで分析し、ひいてはそれが「浄菩提心」構築の過程ともなる様を克明に描く。大乗密教概説の書ともよぶべき大日経の注釈書「住心品疏」に、原文、要語解説、および現代語訳をそえて丁寧に読み解く


はしがき

本  論
   一 経名について
1 「毘盧遮那」ということ
 イ 除暗遍明(特性一)
 ロ 能成衆務(特性二)
 ハ 光無生滅(特性三)
2 「大」ということ
3 「成仏」ということ
4 「神変加持」ということ
 イ 神変加持と神力所持
5 くわしい題目
6 「入真言門住心品」とは
 イ 「入真言門住心品」
 ロ 入真言門の三事
   二 序文とその内容
1 序文と薄伽梵の考察
 イ 薄伽梵の検討
2 説法処について
 イ 加持処について
 ロ 広大金剛法界宮
 ハ 妙眷属
 ニ 信解遊戯神変
 ホ 大樓閣宝王
   三 同 聞 衆
1 十九執金剛
 イ 持金剛衆たち
2 四大菩薩
 イ 内眷属と大眷属
 ロ 普賢菩薩
 ハ 慈氏菩薩
 ニ 妙吉祥菩薩
 ホ 除一切蓋障菩薩
3 摩訶菩提薩券
 イ 摩訶薩券
 ロ 三種の薩券
   四 説法の時分
   五 三密平等句の法門
1 平等の法門
2 無尽荘厳蔵
3 無辺際なる荘厳
4 荘厳の不思議
   六 三聖者の教え
1 清浄句とは
2 次第に超昇する
3 法性の芽
4 不可思議神通のめでたいしるし
   七 三句についての金剛手の質問
1 一切智智を得たまえるもの
 イ 如来の語義
 ロ 阿羅訶の語義
 ハ 正遍知の語義
 ニ 薩婆若那の語義
2 一切智智の向けられる対象
 イ 種々の世界
 ロ 人のおもい
 ハ 種々なる方便
 ニ ビルシャナ仏の大曼荼羅の開発
3 一切智智の五種の譬喩
 イ 虚空の喩え
 ロ 地界の喩え
 ハ 火界の喩え
 ニ 風界の喩え
 ホ 水界の喩え
 ヘ 五喩と五字
  
   八 三句の問いとその答説
1 三句に対する質問の重要さ
2 菩提心を因とす
3 大悲を根とす
4 方便を究竟とす
5 実の如く自心を知る
   九 菩提心の検討
1 菩提心は虚空相か
2 菩提心は無相か
   十 自心に菩提心と一切智を求めるわけ
1 金剛手菩薩の質問
2 自心の実相
3 心は不可得なり
4 自心と真我と
  * 黒夜に象をなぜるのたとえ
5 心と三界
  * 器のたとえ
   十一 心の実相のとらえがたきこと
1 心についてのかたよった見解
2 みることのできない存在
3 心は虚空の相である
   十二 心と虚空と菩提と
1 心の三名
2 菩提心清浄
3 諸法実相と菩提心
4 心は外塵の中に不可得
5 五蘊の中にも不可得
6 心が阿字門に入る
7 心を我相にもとめるに不可得
8 陰・界・入に心をもとめるに不可得
9 真言行者の自心の実相観
   十三 浄菩提心の探求
1 初法明道と名づく
  * 利宝蛇毒のたとえ
2 除蓋障三昧とは
3 煩悩に五種あり
4 除蓋障三昧の境界
   十四 如来と同住の功徳
1 五神通を起こす
2 陀羅尼を得る
3 功徳の総括
 イ 内外の功徳
 ロ 金剛のごとき浄菩提心
4 住無為戒とは
5 戒の力について
6 真実なる功徳
   十五 九句による質問
1 執金剛秘密主の発問
イ 菩提心のおこり
ロ 菩提心のすがた
ハ 心続生について
ニ 心相 ・ ホ 時
ヘ 功徳聚
ト 修行
チ 異熟の心 ・ リ 殊異の心
2 答説の順序について
   十六 大日如来の答説
1 菩提心の発生の理由について
2 菩提心の相にかかわる大乗の七種の意味について
3 心続生の相
4 菩提心発生の意味
5 菩提心の相についての答説
6 行者の供養行についての答説
 
   十七 凡夫の我執と外道の我説の否定
1 凡夫の我執
2 三十種の外道の我説
①時外道 ②地等外道 ③相応外道 ④建立外道・⑤不建立外道 ⑥自在天外道 ⑦計流出外道 ⑧時外道 ⑨尊貴外道 ⑩自然外道 (その他)
3 我論の成立と伝承
   十八 世間の八心について
1 八心の名称と内容
①種子の心 ②芽の心 ③疱の心 ④葉の心 ⑤華の心 ⑥結実の心 ⑦受用種子の心 ⑧嬰童の心
2 八心の展開
①神々への信仰 ②殊勝心と決定心を加えて十心となる ③縁起の空について ④八心の続生について ⑤種子心の因 ⑥順世の八心
   十九 六十の心相の検討
1 諸の心相についての答え
2 六十心の検討
①貪心について ②無貪心について ③瞋心について ④慈心について ⑤痴心について ⑥智心について ⑦決定心について ⑧疑心について ⑨闇心について ⑩明心について (その他)
3 百六十心のまとめ
   二十 百六十心について
1 その数え方
2 煩悩転起の相
   二十一 三妄執の検討
1 三妄執について
2 初 劫
 イ 三種の三妄執
 ロ 大乗の人の三妄執
 ハ 三獣の渡河
 ニ 三乗の相違について
 ホ 内外二種の外道について
 ヘ 存在へのとらわれ
 ト 五種のたとえ
①聚沫のたとえ ②浮泡のたとえ ③陽炎のたとえ ④芭蕉のたとえ ⑤幻事のたとえ
 チ 大・小乗の五喩について 
二十二 心品の転昇について
1 第一劫をこえる
 イ 順世と違世の八心
 ロ 秘密宗の見解について
2 第二劫をこえる
 イ 無縁乗ということ
 ロ 初劫の限界と阿羅耶の三義
3 『大乗荘厳経論』の求真実品の偈について
 イ 求真実の偈
 ロ 求真実の譬喩
 ハ 第一義諦のこと
 ニ 転依について
 ホ 有体と無体
 ヘ 幻ということ
 ト 虚妄分別のゆえに
 チ 二つの迷い
 リ 問答 その一
 ヌ 問答 その二
 ル 『大乗荘厳経論』引用の理由
4 第二劫について
 イ 第二劫の内証—法空—
 ロ 第二劫の内証—本不生—
 ハ 第二劫の結論
   二十三 第三劫の検討
1 第三劫をこえる
2 真言門における成仏道の特徴
3 初入の浄菩提心
4 真言行者の浄菩提心
5 諸神敬信す
6 空性なることの確認
7 無相なること
8 縁起ということ
9 本不生なること
10 成仏のための因
11 宝珠の譬喩
12 菩提心の展開の相
   二十四 十地について
1 究竟一切智地ということ
2 信解行地
3 三心について
4 無量波羅蜜と四摂法
5 十地と十心について
6 十地に十心を具す
7 十地の浅略と深秘と十六大菩薩
8 沙羅樹王について
9 一切智地について
10 上上方便心
   二十五 六無畏のこと
1 幾種の無畏ありや
2 無畏処と名づく
3 六無畏について
 イ 善無畏について
 ロ 身無畏について
 ハ 無我無畏について
 ニ 法無畏について
 ホ 法無我無畏について
 ヘ 一切法自性平等無畏について
4 三劫・六無畏をあげた理由
   二十六 十縁生句の考察
1 十縁生句の意味するもの  
2 三種の十縁生句
3 不思議幻について  
4 深修すること 
5 十喩を説く意味 
   二十七 十喩について
1 幻のたとえ
 イ 『大智度論』から『徳女経』の引用 
 ロ 真言持誦者の場合
2 陽炎のたとえ
 イ 『大智度論』からの引用  
 ロ 仮名の相
3 夢のたとえ
 イ 本文と『大智度論』からの引用  
 ロ 一念を千万歳とする
 ハ 真言行者の夢  
4 影のたとえ
 イ 『大智度論』からの引用  
 ロ 智人の笑い
 ハ 鏡と鏡中の像  
5 乾闥婆のたとえ 
 イ 『大智度論』からの引用
 ロ 三品悉地について
6 響きのたとえ
 イ 『大智度論』からの引用
 ロ 一音の響き
7 水月のたとえ
 イ 『大智度論』からの引用
 ロ 持明者の立場
8 泡のたとえ
 イ 泡をたとえとすることの意味
 ロ 『大智度論』からの引用
9 虚空華のたとえ
 イ 『大智度論』からの引用
 ロ 心は迷乱する
10 旋火輪のたとえ
 イ 阿字の旋転
 ロ 『大智度論』からの引用
  二十八 十喩は六句である
  二十九 六句の転深
  三十 阿闍梨のことば

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