空海思想とその展開    福田亮成著

空海密教の核心に迫る興味ある論考十八篇は、空海思想の主要テーマのみならず、更にはその周縁課題にも言及する、著者畢生の大作。

体裁: A5判上製・クロス装・箱入
本体価格: 15,500円
総頁: 514頁
ISBN978-4-903470-79-5 C3015
第一章 空海の密教的視座
一 問題の所在 
二 空海の灌頂と付法 
三 南天の鉄塔説の意味するもの 
四 法身の説法と内証智 
五 自内証智・三摩地門 
六 空海の密教的前提 
七 密教的視座のもう一つの出発 
八 密教ということ 
九 此れを説くに二の義有り 
第二章 空海の『即身成仏義』の周辺
一 問題の所在 
二 『即身成仏義』の周辺 
三 六大ということ 
四 『秘蔵記』における六大 
五 もう一つの六大説の典拠 
六 高台の明鏡の中に現ずる 
七 まとめ 
第三章 空海の構造的成仏論
一 問題の所在 
二 灌頂の成仏 
三 構造的な成仏説 
四 即身の三大 
五 まとめ 
第四章 『即身成仏品』について——六大説再考
第五章 法身如来としての空海
一 問題の所在 
二 時間軸としての〈付法〉 
三 空間軸としての〈即身〉 
四 法身如来観 
 ①四種法身・四種曼荼羅
 ②三種世間について
五 まとめ 
第六章 空海の『開題』類にみる密教(1)
一 問題の所在 
二 資料としての『開題』類 
⑴『大日経開題』〈法界浄心〉
⑵『大日経開題』〈衆生狂迷〉
⑶『大日経略開題』〈今釈此経〉
第七章 空海の『開題』類にみる密教(2)
⑷『大日経開題』〈大毘盧遮那〉
⑸『大日経開題』〈隆崇頂不見〉
⑹『大日経開題』〈三密法輪〉
⑺『大日経開題』〈開以受自楽〉
第八章 空海の『法華経開題』攷
一 問題の所在 
二 『法華経開題』の背景思想 
三 その実際について 
四 八葉と九字・九仏について 
五 開示悟入と阿字のこと 
六 『法華経』と四種曼荼羅観 
七 まとめ 
第九章 空海思想における四種法身と四種曼荼羅身について
一 問題の所在 
二 六大説の構造について 
三 六大の能造・所造について 
四 四種法身ということ 
五 四種曼荼羅身の検討 
六 『大日経疏』における曼荼羅身 
七 まとめ 

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第十章 空海思想における「両部」ということ
一 問題の所在 
二 事実としての両部 
三 両部ということの根拠 
四 破地獄三種悉地法と両部 
五 理・智不二としての両部 
六 まとめ 
第十一章 空海における遍満と平等の原理
一 六大ということ 
二 六大自在の用 
三 能造・能生の六大 
四 六大と四種曼荼羅身 
五 六大と法爾の道理 
六 六大と所生の法 
七 まとめ 
第十二章 空海の社会救済とその周辺
一 問題の所在 
二 当上表文の分析 
三 弘仁元年十月廿七日 
四 社会救済ということ 
五 檀像を造刻する願文 
六 宸宮の大造 
七 真如のこと 
八 まとめ 
第十三章 密教マンダラ観に基づく「共生」
一 問題の所在 
二  「共生」ということ 
三  「共生」と平等 
四  「平等」における引摂と流出 
五 発生としてのマンダラ 
六 真実世界の主と余 
七 大悲蔵発生三摩地と三平等 
八 まとめ 
第十四章 頼瑜における空海思想の把捉について
一 問題の所在 
二 『諸宗教理同異釈』について 
三 頼瑜の顕密教判論について 
四 頼瑜の六大説理解について 
五 まとめ 
第十五章 真実曼荼羅と形像曼荼羅
        ——運敞『大疏啓蒙』の「絵木法然」を視座として
一 形像曼荼羅とは 
二 テーマとしての「絵木法然」 
三 「絵木法然」の概観 
四 「絵木法然」論議の展開 
第十六章 『五蔵曼荼羅和会釈』攷
一 問題の所在 
二 三本の比較について 
三 五蔵曼荼羅とは 
四 五蔵曼荼羅図の実際 
五 漢和の詩文に見る五蔵観 
六 念珠の五蔵観 
七 世間の所依と五智の能依の五蔵観 
八 加持身五処五智如来経 
第十七章 日本密教と神◇思想——神と仏の交流とその変容
一 問題の所在 
二 神と仏との習合ということ 
三 平安仏教における神{観——空海の場合を中心として 
四 無住一円の場合 
五 空海仮託の神{書——『麗気記』を中心として 
六 まとめ 
第十八章 立川流の一資料         
   ——『根吼抄』の本文紹介・翻刻・書き下し文及び索引
一 はじめに 
二 根孔(吼)抄の撰者について 
三 教雅と根吼抄 
四 『根吼抄』の本文翻刻 
五 『根吼抄』の本文書下し文 
  索引 478(21)…498(1)
 
 あとがき 
 初出一覧